2012年5月27日日曜日

こどものテキスト:うたとピアノの絵本

子向けの教本は沢山の種類があるのでその子に合わせて選んでいます。
こちらの「うたとピアノの絵本」(呉暁著)もよく使う教材のひとつです。

呉暁さんはピアノ教育の第一人者。
音楽教育に関する著書も非常に参考になります。
テキストはこのほかにも「アキピアノ教本」やソルフェージュの本があり、
私もレッスンで使わない日はないほどこれらの教本にお世話になっています。

大きい音符で小さい子供でも読みやすく、かわいい絵と楽しい歌詞がついています。
教える私も何回見ても楽しい絵だな!と思いながらレッスンしています。
この3冊で右手の中央ドレミファソ、左手の中央ドシラソファを覚えます。
リズムは四分音符、8分音符、2分音符、4分休符を覚えます。
一見簡単そうな譜面に見えますが、どれも後半はリズムと指の組み合わせが
なかなか複雑で、頭と指の体操のようで苦労する子もいますが
終わったころには読譜力が確実についています。





2012年5月23日水曜日

衝撃のポゴレリチ来日公演2012

サントリーホールにて7年ぶりにポゴレリチのリサイタルを聴く。
あれから2週間、この衝撃のリサイタルについて何か書きたいと思いつつ、
あまりにも影響「大!」でぼーっとしてしまい、時間が経ってしまいました。

2005年10月、同じくサントリーホールでのリサイタルの演奏は聴いていて辛く、
途中でもう帰ろうかと思ったほど崩れ様。
ピアノはぶっ叩かれ、音楽のフレーズもちょんぎられ、グロテスク極まりない。
妻であり、師であったケゼラーゼが亡くなってしまったことがここまで影響
するとは、と愕然としたものです。
本人も納得して弾いているとも思えず、このままこの人はピアノを
弾けなくなってしまうのではと悲しくなるばかりでした。

その後も軽井沢でのマスタークラスやラ・フォル・ジュルネでショパンのコンチェルトを
弾いたりと日本でもポゴレリチのピアノに触れる機会はあったのですが、
どうしても聴く気になれず。


そして久々に今回の公演、そこで聴いたものは・・・。
苦悩を経て進化・発展したポゴレリチの世界。

プログラム
前半  ショパン:ソナタ第2番
リスト:メフィスト・ワルツ
後半  ショパン:ノクターンop.48-1
          リスト:ソナタ

冒頭のショパンが始まったとたん、身を乗り出すことに。
全ての音・フレーズが美しく、有機的に結びつき、かつての荒削りな表現は
微塵もなく音楽を伝える使者のよう。
美しい彫刻を見ているようでした。
外枠だけみるとデビュー版に近い響きと構成の演奏だったのが不思議
だが、表現しているものは全く別。
このソナタの持つ深さに全身を包まれ、別世界に行った様だった。
後半のノクターンも美しさの極み。

リストはメフィストワルツでエキセントリックとも取れる演奏。
この曲はプレトニョフのスカッとする演奏が好きだが、
ポゴレリチのグロテスクな演奏もこの曲のどんちゃんさわぎぶりを表していて
アリだな、と説得されてしまう。
ロ短調ソナタは凄んでて聴衆が金縛りにあったよう。
最後の単音「シ」が終わってからの沈黙が長く、
ポゴレリチが動くまで誰も手を叩けず。
沈黙が30秒ぐらいあったのでは。
リストも凄かったが5年後に聴いたら更に進化していそう。


当日購入したプログラムに素晴らしい「ポゴレリチ語録」がありました。
彼の発言は昔から一貫していて心に留めておきたいものばかり。
一部を転載します。

「私の人生とキャリアにおいて大切なことは、何をするにも『専念』することです。
自分自身を捧げることが、偉大な知への扉を開く鍵です。
自分のすべてを捧げて打ち込むのであれば、人は常に進歩することが
可能なのであり、年齢そのほかの人生の些細な事柄によって制限される
ことなどありません。」

「信じるものがあり、自身に信頼を寄せるなら、貴方を拒むものなど何もない
僕が、若い人たちに学んで欲しいと思うのは、何かを信じ、自分自身に
信念を持っているなら、何ものもを、自分を止め得るものはない、ということだ。
世界も、国家も、国民も、政治も、体制も、何もない!
自分が心から望むものが、手に入らないはずはないと僕は思っている。」

二人三脚だったケゼラーゼ亡き後、ピアノを弾くことが辛かったという
状態から、苦しみぬいて巨人的な芸術家となったポゴレリチ。
彼が天才であった証です。
これからも我々に衝撃を与え続けるでしょう。

2012年5月16日水曜日

ピアノマニア

「ピアノマニア」
スタインウェイのコンサートチューナー、シュテファン・クニュップファー
を追ったドキュメント映画。
登場するピアニストは主にピエール=ロラン・エマール。
他にラン・ラン、ブレンデルなど。

ピエール=ロラン・エマールのピアノに対する要求は細っかくて
観客はそれを聞いているだけでも疲れるのだが、シュテファンは
チューナーとしての凄腕テクニックで応えていく。
シュテファンはどんな大変な時でもユーモアがあってステキ。

問題となるのはバッハの「フーガの技法」をエマールが録音で弾くピアノの調律。
それにしても細かい。
曲によって細かく調整を変えていく様子はあきれるほど。
そこまでする必要あるの?ってつっこみたくなります。
でもってこのこだわりたっぷりのCDが欲しくなったわけではないけれど。

エマールはやっぱり現代曲が似合う。
エマールの弾いたリゲティのエチュードは最高です。
大学生の頃、これを聴いて「なんじゃ、この音楽、このテクニック?!」
と思ったものです。
でもこの作品も今ではコンクールの定番曲、時の流れるのは早い。

話は「ピアノマニア」に戻りますが、チューナーの仕事がいかに
ピアニストにとって大事かが興味深く描かれていて、カメラワークも綺麗。
もちろんピアニスト達の熱演やボストリッジの美声も聴けます。
どんな分野でも極めている人の仕事は魅力溢れるもの。
きっとピアノ好きでなくても楽しめると思います。

シュテファンは音楽コントをするイグデスマン・ジョーと親しいのですが、
実際のコントが途中で出てきて大笑いしました。その動画がこちら。
帰宅してからイグデスマン・ジョーの動画をYouTubeで検索。
いろいろ見てまた一人で大笑い。

個人のお宅でのコンサート

久々のコンサートでした。 ご自宅にブリュートナーを置かれて時々コンサートを 開かれている方にお声をかけていただき出演しました。 60年ほど前に製造されたブリュートナーはよく響く懐かしい音がします。 特にドビュッシーやフォーレにピッタリの音色。 黒塗りされていない木目のピアノからは...