全12曲のうち半分くらいしかしか弾いたことがなかったのですが、
全曲いっぺんに弾いていみると、よくこれだけいろんな響きを
創りだしたものだと感嘆します。
私が子供の頃によく聴いて神秘的な気分になった『沈める寺』
ドビュッシーがピアノロールに収めてます。
この曲は5〜6世紀の伝説からヒントを得て作曲されたと言われています。
ブルターニュにイスという街があって、その街全体はその昔海に
沈んでしまったがある時その姿を表わし、また沈んで行く様子だと
言われています。
本当は登場人物もいてもうちょっとドロドロした複雑な伝説のようですが。
聴いてみるといかにも何もないところから街と浮かび上がってくる感じ。
中間部はどんどん教会が迫ってきて、パイプオルガンや
合唱の響きが聞こえます。
そして街と教会はまた海の中に沈んで戻っていきます。
子供の頃は『沈める寺』という題名から日本のお寺を
イメージしてました、まったく(笑)
だってドビュッシーって東洋的な響きを使ってるし。
大人になって題を見たら"La cathédrale engloutie"、カテドラルって
教会、それも大聖堂と言われるものじゃないですか。
随分曲に対するイメージがガラッと変わりました。
訳って大切ですよね。
寺って言うと情緒がありそうな感じでかっこ良く響くけど
私のように間違ったイメージを持つひとっていると思うので(?)
変えたほうが宜しいかと。
ドビュッシーの演奏は淡々としていてとてもシンプルに感じます。
作曲者の自作自演って大抵そう感じるんですよね。
第3者が演奏するほうが思い入れたっぷりに聴こえる。
それとこの『沈める寺』、楽譜通り弾くとすごーく遅く感じる箇所が
あるのですがドビュッシーはそこの所を倍速にしています。
ちゃんと楽譜に書いておいてください、お願いしますよ、ドビュッシー様!