青柳いづみこさんのコンサート〈至福のデュオ〉を聴く。
青柳さんはピアニストのみならず文筆家、ドビュッシー研究家
としても著名。
著書は何冊か読み、特に『翼の生えた指 評伝 安川加寿子』は
特に印象深かった。
前半はピアノソロ、そして法貴彩子さんとの2台ピアノ。
ぴったりと息のあった落ち着いた演奏。
ドビュッシーの「白と黒で」うねりのある官能的な印象。
ラヴェルのハバネラも素敵だった。
青柳さんの演奏はドビュッシーを研究し尽くしながらも
客観的で小気味よい演奏。
ドビュッシーによくあるもわ〜っとした感じではなく
クリアでどちらかというとゴツゴツした響き。
きっとドビュッシーとの長い付き合いの中で演奏も
いろんな変遷を辿っているのだろう。
貫禄の響き。
バランス感覚が素晴らしく洗練されていて、いかにもフランスで
学ばれた方とう印象だが内に熱いものを秘めた感じ。
曲の合間に青柳さんのトーク、前半は演奏中にも
曲目の関連映像が映し出される。
トークはパリの国立音楽図書館に通いつめてドビュッシーを
研究した青柳さんならでは。
音楽の背景を知って聴くのとそうでないとでは大分楽しみ方が
違ってくる。
もっとこういうトークのあるコンサートがあって良いと思うが
演奏家皆が青柳さんのように知的な活動をしているわけではないので・・・。
思い出されるのはピアニストの花岡千春さん。
毎年開催する自主リサイタルのピログラムをご自身で書くために
度々フランスに渡って文献などの研究をなさると伺ったことがある。
花岡千春さんの演奏もまたまっすぐで素敵です。
コンサート後半はヴァイオリンのクリストフ・ジョヴァニネッティ氏と。
ドビュッシーの編曲者、ラヴェルのハバネラやツィガーヌ。
ジョヴァニネッティのヴァイオリンが非常に優しく美しい。
こんなヴァイオリンは初めて聴いた。
この2日後にはドビュッシーのヴァイオリン・ソナタをを含んだ
プログラムでのコンサートがあったのだが行けずに本当に残念だった。