2014年12月30日火曜日

ポゴレリチ来日公演2014

今年が終わらないうちに書いておかないと。。。

昨年と同じ成り行き(笑)

今年もポゴレリチが来日しました。
私のつたない文章では伝わるものはほんの僅かではありますが
一応記しておきます。

12月14日(日)19:00 サントリーホール
リスト: 巡礼の年第2年「イタリア」から
     ダンテを読んで(ソナタ風幻想曲)
シューマン: 幻想曲 ハ長調 op.17
ストラヴィンスキー: 「ペトルーシュカ」からの3楽章
ブラームス: パガニーニの主題による変奏曲 op.35 

なんと、全く新しい曲ばかり。
ポゴレリチは同じレパートリーを何度も繰り返して弾くピアニスト
として知られているので、『本当にこれ全部弾くの?』と半信半疑でしたが
今シーズンは既にヨーロッパでもこのプログラムで繰り返し弾いている
情報だったので、『本当に弾くんだ!』とドキドキでした。
どれも気力体力を消耗する難曲揃いで、テーマは『ヴィルトゥオジティ』。

会場に早めに入るとお決まりのポゴレリチ練習中。。
小さな音で、ゆっくりと曲の部分練習してます。
普通、こんなとこお客さんに見せないのに、本当に変わった人です。

リストのダンテ、この曲どこが良いのかと全く興味を持ったことがないのですが、
ポゴレリチは皆がバリバリ弾くこの曲に新しい光を与えていました。
普段は空々しくしく聴こえていたパッセージに新しい言葉が与えられ、
ダンテ『神曲』の「地獄篇」を描いたという背景に相応しい音楽に。
リストって奥が深いと思った眼から鱗の演奏でした。
(後日楽譜の整理をしていたら買った覚えのない巡礼の年第2年の楽譜発見!
初めて譜読みしてみた)

続くシューマンの幻想曲。
特に2楽章が刹那的で絶望感たっぷりのマーチ。
これまたこの曲はこの様に弾くべき!と思う。
恐るべし説得力。
決して楽しい曲ではないのだね、この2楽章って。
訳の分からない曲だと思ってましたが、初めて納得した。

後半のペトルーシュカ、いやぁこれが楽しかった!
ポリーニの録音が有名ですが、あれは『ほれ、すごいだろ!』という
雰囲気満々の演奏。
ポゴレリチのペトルーシュカはこの曲が元々バレエ音楽なのだ
ということを再認識させる躍動感たっぷりの演奏。
道化師ペトルーシュカとカラフルな舞台が目に浮かんできます。
『ヴィルトゥオジティとはテクニックを見せるのではなく、音楽に光をもたらすもので、
人々が音楽を理解し、楽しめるようにするもの』とうポゴレリチの言葉通り。
この人の言っていることはいつも深くて、言うだけでなく演奏に反映されてる。
巨人です。
もうココらへんで私は感動で涙しそうになっていました。

最後はパガニーニ変奏曲。
これは私も高校生の頃弾いたのですが『なんという難しい曲なのだ!』と
唸りながら練習した思い出の曲。
この曲は軽やかにアクロバティックに弾いているのを聴くと凄い!と思うのですが
ポゴレリチは軽やかさには全く執着しない演奏。
テーマがオドロオドロしく弾かれたのにはびっくりし、なんともロマンチックな
歌いまわしがあったり、ブラームスらしい重厚な演奏。

以前はエキセントリックと言われたポゴレリチですがこれからは
そういうキャッチフレーズは使われなくなるでしょう。
芸術家として王道。
ピアノと音楽への献身にただただ尊敬です。

本当に刺激的なコンサートした。
次の来日が待ち遠しい。








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