パスカル・ル・コール著 海老彰子訳
イタリアで生まれ育ちフランスで学び
その後フランス国籍のチッコリーニ。
私がフランスにいた頃は元パリ音楽院教授というぐらいの認識
でしたが最近の来日公演が素晴らしいと聞き興味を持ち読んでみました。
イタリアで徴兵され数年間ピアノに触れることが出来ず、
父を亡くし家族を養うためにバーでピアノを弾いていたことなど
年代を感じさせる内容から始まります。
シュヴァルツコプフなど偉大な歌手との共演で多くを学んだこと、
ピアノを弾く人は歌手の伴奏をし音楽の中での呼吸の仕方を
学ぶことを強く推奨しています。
『歌手たちは、たとえ地球上の全ての欠点を持っていたとしても、
呼吸の取り方については絶対に間違えません』という一文が
ほんとうにその通りだと印象的です。
テクニックについて、ては鍵盤を『つかむ』『引きつける』
ことを学ぶことによって成り立つことに始まり、レガート奏法、
ペダルについてなど細かく記されています。
非常に謙虚であたたかな人柄があふれる文章。
1925年生まれの89歳とご高齢なので聴けるチャンスは
もうそんなに無いかもしれません。
また次の来日公演があれば是非聴いてみたいと思いました。
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