2011年10月25日火曜日

フランスのピアノ事情と音楽教育

日本の音楽大学に通うピアノ科の学生は
ほぼもれなく自分のグランドピアノを持っていますが
フランスは大分事情が違い、パリ国立高等音楽院に
通っているような優秀な人でもグランドピアノを
持っていない学生が結構いて驚きでした。

大抵の音楽院にあるピアノも古くて、スタインウェイ
なんてあまり見かけません。
日本の音楽大学にはゴロゴロあったのに・・・。
フランスではヤマハのグランドがあれば大満足、
ヤマハはとび抜けて良い音がしなくても質が揃っていて
本当にスゴイ、日本が世界に誇れるメーカーだなぁと
フランスで感激しました。

私はフランスに住み始めたころはアップライトをレンタル
していたのですが、やはり音もタッチがグランドと違い、どうしても
グランドで練習したい!と思いレンタル料が確か3倍ぐらいに
なってしまったけれどグランドにチェンジを決心。
しかしレンタルのグランドピアノはあまりないので
在庫のあった白いヤマハのグランドピアノを借りました。
白いグランドピアノなんてホテルのラウンジぐらいでしか
見たことないわ、なんか恥ずかしいなぁ、と思っていたのですが
部屋に入れてみると意外と黒ピアノより圧迫感がなくていいものですね。
でもうちに来る人はみんなびっくりして笑っていましたね。

話を戻しますが、フランス人は良いピアノどころか
グランドすら持っていない人がいるのにどうして
表情豊かな演奏をするのか、ということを考えたものです。
それはやはりイマジネーションと理論の裏打ちがあってのものだなぁと。
こういう音楽にしたい、こういう音にしたい、という目標が
はっきりしているので、どんな楽器であろうと聴き手の
想像力に働きかけるダイナミックな演奏になるのですね。
確かにタッチが荒かったりすることもありますが演奏が
生き生きしています。
これはフランスの音楽教育の賜物であると思います。
レッスンでは大抵曲のイメージを具体的にするように
指導されますし、そのための音楽史や音楽理論も
ゼミ形式でしっかり学びます。
レポートも多くて先生がしっかり添削してくれます。
日本の音楽大学では先生が一方的に話す講義ですが、
やはりゼミ形式だと身につきますね。
総合的な音楽力を養い、みな自信をもって演奏しています。

なのでこれからフランスに音楽留学される方は
語学が大変で面倒だと思っても是非実技以外の
理論などのクラスに参加されることをおすすめします。

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